2018.02.21
メンタルヘルス
近年、急激に変わって来た生活環境や社会のありかたなどによって、ストレスに晒されることが多くなったと言われています。
そして、過度なストレスが原因で発症すると考えられているのが、うつ病です。
また、以前よりは精神科や心療内科への理解が深まっていることなどもあってか、うつ病と診断される方も増えて来ています。
うつ病と診断されればもちろん治療に入る訳ですが、その間にも日常生活でのストレスには晒され続けることになります。
ストレスが原因とされるのがうつ病ですから、治療中その効果をきちんと反映させるために、日常生活の中で気を付けたい点をあげました。
病気であることを自覚する
うつ病だと診断されても、それを受け入れるのが難しいという方も居ることでしょう。
自分がうつ病だと認めるのは、それ自体が勇気の要ることなのかもしれません。
うつ病の患者さんは、病気の症状があっても「ちょっと調子が悪いだけ」と無理をしてしまいがちです。
病気でこれまで特に何も考えずにちゃんと出来ていたことが出来なくなってしまったとしても、自分を責めてしまうことも少なくありません。
うつ病は病気ですから、もちろん適切な治療が必要です。
病気が良くなれば、また以前の様な生活が取り戻せるので、まず治療に専念するようにしましょう。
一人で抱え込んで悩まないようにする
もし治療中に、困ったことや不安に思うことがあれば、全てを自分ひとりで抱え込もうとせず、家族や友人、主治医などに相談してみてください。
気がかりなことを自分だけで抱え込もうとすると、それだけでこころに大きな負担がかかります。
どうしようもないと思える事でも、周囲の人に相談してみると、思いもよらない解決があったり、話すだけでも気持ちが楽になったりするものです。
自分の周りに居てくれる人たちを信頼して、任せられることは任せてしまおうと考えましょう。
病気を隠さず周囲の人に知ってもらう
うつ病と診断される人が多くなっていることなどから、以前よりはうつ病に対する偏見のようなものは少なくなって来ているようです。
とはいえ、病気に対しての理解となると、まだまだ充分とは言えません。
しかし、だからといってうつ病であることを隠してしまうと、病気になっているから出来ないことが、「怠けている」「やる気がない」と受け取られてしまう可能性は小さくないでしょう。
また、隠していた場合、周りの人の目や、自分がどう評価されているかを気にすることがストレスとなり、病状が悪化してしまう恐れもあります。
家族はもちろんですが、直属の上司や同僚、親しい友人などには自分の病気のことを話して、なるべく理解してもらうようにしてみてください。
その上で様々なことがらに対してサポートを受ければ、治療もきっと、それまでよりスムーズに進むことでしょう。
重大な決断は急がない
誰でもマイナス思考に陥ることはありますが、うつ病の場合はそれが強く出てしまいます。
考え方が悲観的になってしまうことも多くあります。
うつ病と診断された場合、病気なので、正常な判断力が低下していると考えて、仕事を辞める、離婚するなどの重大な決断は暫く放っておいて、すぐに結論を出すのは避けましょう。
よく先延ばしすることは悪いことのように言われますが、うつ病の場合は別です。
うつ病の治療が終わった後で、どうしてあの時あんなことをしてしまったのかと後悔する方も多くいらっしゃいます。
重要な決断を急ぐのは避けて、結論を先延ばしにしてしまいしょう。
自分の性格や考え方を知って思考パターンを変える
うつ病になりやすい方は、完璧主義、生真面目、自分に厳しい、凝り性、周囲に気を遣うなどの性格や気質であることが知られています。
完璧なものを追求して頑張りすぎてしまったり、疲れていても、ここでしっかりしなければ、自分が休んだら他の人の迷惑になるかもしれない、などと考えてしまいがちなのです。
また、マイナス思考に陥りやすい傾向もみられるので、なるべくそれを変えるようにして、病状を軽くすることを目指しましょう。
もし悩みがあるのなら、「自分は何に悩んでいるのか」「その解決法をいくつかあげてみる」「解決法を実行した場合、結果はどうだったのか」を書き出して、悩みごとの内容を整理してみてください。
ものごとを捉えるには様々な観点があることに気付くと、それを意識した柔軟な考え方も身に付いて来ます。
自分の性格を理解して、無理をしないようにこころがけて行きましょう。
ゆとりある生活や行動をこころがける
几帳面で完璧主義といえる性格が、うつ病の方に多いと書きましたが、日常生活にもそんな面がうかがえることが多いのです。
そこで、うつ病になった場合は少し手を抜きましょう。
忙しい、ここまでやらなければと思って休養をとらないでいると、ストレスが溜まってうつ病が悪化してしまうことも考えられます。
また、完璧主義ともいえる考え方をすることが多いので、うつ病の治療にもそれを求めてしまいがちです。
治療の効果が自分の思うようにあらわれないと、不安に感じたり、焦ってしまって悪化することもあります。
うつ病の治療中は、やろうと思ったことが全部終わらなくても、「8割くらい終わったら上出来だ」「大体これくらいでいいかな」くらいに考えるようにしましょう。
完璧ばかり求めず、考え方に幅を持たせることも大切です。
そして、意識的に休養の時間を入れるなどして、ストレスが溜まらないようにしてください。
十分な睡眠をこころがけて身体のリズムをつくる
生活面で重要なのは、睡眠などを含めてきちんと休むことです。
睡眠は脳と身体を休ませて、健康な生活を送るリズムを作る大切なものですが、うつ病になると、寝つきが悪かったり眠りが浅かったりすることが多いもの。
引きこもりがちになるので、身体のリズムも乱れてしまいます。
そこで、うつ病の治療には生活リズムの改善も重要になって来るのです。
正しい生活リズムは、起床後に日光を浴びることで調整されるので、就寝時間と起床時間をできるだけ一定にするようにこころがけて、規則正しい日常生活を送るようにしましょう。
朝起きたらまずカーテンを開けて、日光を浴びるのも良いかもしれません。
また、きちんと食事を摂ることも、日常生活のリズムを整えるのに効果的です。
もし、なかなか寝付けない、度々目が覚めてしまうことなどがあったら、すぐに主治医に相談するようにしてください。
食事は好きなものを含めてバランス良く
食欲は治療が進めば戻って来ますが、その場合はまず食べたいと思うもの、好きなものから
適度に食べてください。
とはいえ、栄養バランスのとれた食事は大切です。
野菜や大豆製品など、高タンパク・低カロリーなものを、なるべくバランスよく食べるようにこころがけてください。
この時、身体に良いといわれる食べ物にはこだわらなくて構いません。
「バランスのとれた食事」をこころがけ、自分の身体をいたわる食習慣を身につけて行きましょう。
※アルコールは控える
アルコールは、抗うつ薬の作用にも影響を与えることがあります。
アルコールと薬を一緒に服用することは、絶対に避けてください。
また、アルコールを摂取すると、一時的に気が晴れたように感じるかもしれませんが、うつ病が治る訳ではありません。
アルコールは眠りを浅くし、うつ病を悪化させることもありますので、控えましょう。
楽しみの時間を作る
生真面目な方が多いうつ病の患者さんには、ちょっと休んだり、楽しむ時間を作ることがいけないことだと思ってしまう方も多くいます。
しかし、自分が楽しめる時間を過ごすことも、うつ病の治療法の1つです。
これまで罪悪感から遠ざけてしまった経験がある方も、治療なのですから誰はばかることなく、積極的に楽しみをみつけるようにしてください。
また、適度な運動は、減退していた食欲を回復させたり、睡眠の質を向上させる効果も期待できます。
軽いストレッチやウォーキングなどからはじめて、自分の身体や体力に合ったものや、無理なく続けられそうなものをみつけてみてください。
もしかしたら、今まで体験して来なかった、身体を動かすことが自分にとって楽しいことになるかもしれません。
色々やってみて、楽しいと思うことがあったなら、それを書きとめておくのも良いでしょう。
それを読み返して行くうちに、楽しい時間が持てたことを思い出して、自信につながるかもしれません。
うつ病の治療中に気を付けたいポイントを上げて来ましたが、いかがでしたでしょう。
自分ではこころがけているのに上手く行かない、などがあったら、すぐに主治医に相談してください。
我慢してしまうと、症状が悪化する恐れがあります。
一人で抱え込んで悩まないこと。
気を付けたいポイントにも上げましたが、それをこころがけて行きましょう。