2018.01.25
メンタルヘルス
「うつ病」とは?
「明日テストがあると思うと気が重くなる」
「朝仕事に行くことを考えると、気分が憂鬱になる…」
今までにそんなことを感じたり思ったりした経験のある人は、恐らく数え切れないほどいることでしょう。
気が乗らないことや、あまり好きではないことをするのは、誰でも気が重くなるものです。
雨が降ったり、面倒な商談が控えていたり、親しい人が病気になっていたりすると、憂鬱な気分になるのも万国共通のことでしょう。
しかし、実際にいつまでも憂鬱な気分が抜けきらず、気持ちの落ち込みが長く続いてしまっている場合、うつ病にかかっていることも考えられるのです。
様々なストレスにさらされやすくなった現代社会では、うつ病にかかる方も多く、そのことからドラマや本などにも度々取り上げられ、以前よりは一般的に認知されている病気だといえるでしょう。
沈んだ気分がずっと続く場合、もしかしたらうつ病にかかっているのかもしれません。
その気分の変調が、身体にも影響を及ぼすことは十分考えられます。
毎日の生活に違和感がある、なんとなくだけどおかしいと感じているとしたら、もしかしたらこころと身体がSOSを発信しているのかもしれません。
そこでまず、どんなケースがうつ病とされるのか、症状をご紹介して行きます。
うつ病には大きく2つの分類があります
「気分障害」というカテゴリーに分類されるのが、うつ病です。
その分類の中で大きいのは、
- ・かつては「抑うつ」と呼ばれていた「単極性障害」
- ・かつては「躁うつ」と呼ばれていた「双極性障害」
の2つです。
「単極性障害」は気分が落ち込んでしまう「抑うつ」状態が続く病気、「双極性障害」は気分がハイになる「躁」状態と、「抑うつ」状態が交互に現れる病気です。
このような、比較的症状がわかりやすく外にあらわれるうつ病は、「メランコリー型うつ病」とも呼ばれています。
しかし近年では症状にあてはまらない、専門医でも気付きにくいうつ病が増えて来ているようです。
なかなか気づけない新しいうつ病とは?
上記の、少し診断されづらいうつ病は、「非定型うつ病」と呼ばれています。
非定型と呼ばれていることからもわかるように、一般的なうつ病の症状とは違ったあらわれ方をするものを指します。
客観的な感情表現に違和感がなかったり、よく聞かれる食欲や体重の減少などもなく、逆に食欲が増して過食症のようになったり、体重が増えたりしているために診断が遅れてしまうケースもあります。
非定型うつ病
20代から30代の比較的若い年代の人に多いとされるのが、この非定型うつ病です。
うつ病は通常、抑うつ状態が2週間程度続くのですが、非定型うつ病では楽しいことなどがあると、一時的に気持ちが上向いて、良い状態になることがあるのです。
仮面うつ病
うつ病と診断されにくい代表的なものが、この「仮面うつ病」です。
症状としてあらわれるのがこころの症状ではなく、身体の症状が先に出て来てしまうので、それに精神的な症状が隠されてしまいます。
従って、病状が進行してから、ようやく本当はうつ病だったと診断されることが多くなるのです。
産後うつ病
これは育児によるストレスやホルモンバランスの変化が原因で、出産後2、3週間で発症することが多いうつ病です。
昇進うつ病&リストラうつ病
昇進によって環境が変わったり、リストラの対象者になったことで発症します。
喪失うつ病
大切な人などを失ったショックで発症します。
近年増加している「ペットロス症候群」もこの一種です。
これ以外にも引っ越しや季節の変わり目などがきっかけで発症するケースもあり、非常に様々な要因で陥ってしまう病だということがよくわかります。
うつ病には種類があります
うつ病はこころの病気です。
しかしその症状には実に多くの傾向があるため、「うつ病エピソード」と呼ばれているほど。
気分が落ち込むこと自体は誰にでも経験があることなので、沈んだこころの状態がそのような気分の落ち込みなのか、それともうつ病なのかをしっかりと見分けなくては治療もできません。
見極めの大きなポイントの一つは、どのくらいの期間、気分の落ち込みが続いているのかにあります。
ちょっと気分が落ち込む程度のことはよくあることですが、そんな状態になったとしても大抵の場合は2、3日で良い方向に向かうか、楽しいことがあったり、適当なストレス解消法で回復してしまうものです。
しかし、うつ病にかかっていると、その気分が晴れない状態が2週間以上も続き、ストレス解消につながるはずのことをやってみても、すっきりと気分が晴れるということがありません。
気分が落ち込んだ状態のことを「抑うつ状態」と呼びますが、本当にうつ病なのか抑うつ気分であるのかは、大まかに以下のような違いがあります。
抑うつ気分である場合
- ・自分にとって楽しいことや嬉しいことがあれば、少しでも気分が晴れる。
- ・妄想的になることはなく現実からずれたりしない。
- ・自殺を考えることは比較的まれである。
- ・症状が日常生活に影響することはさほど無く、従って変化も少ない。
- ・はっきりとしたきっかけが思いあたる。
- ・周囲から見ても、沈んだ気分になっていることが理解できることが多い。
- ・例え持続性があったとしても、徐々に軽くなって行くことが実感できる。
- ・仕事や趣味に手を付けたり没頭したりしていると気が紛れる。
- ・抗うつ薬を処方されても効き目がないことが多い。
うつ病である場合
- ・自分にとって楽しいことや嬉しいはずのことがあっても、気分が晴れることがない。
- ・妄想的になって現実から離れた考え方をすることがある。
- ・自殺を考えたことがある。
- ・症状によって日常生活が大きく左右され、その影響で変化がみられる。
- ・はっきりとしたきっかけは思いあたるものの、そうではないこともある。
- ・周囲から見ていると、落ち込んだりしていることが理解できないことが多い。
- ・持続性がみられ、症状が長く続く。
- ・仕事や趣味に手を付けたくても全くそれができない。
- ・抗うつ薬を処方されると効き目のあることが多い。
上記がうつ病の代表的な症状ですが、先にも記載したとおり症状には様々なものがありますので、もしかしたらと思う方は、一度心療内科や精神科を受診して専門医に相談した方が良いでしょう。
うつ病はこころの病気です
うつ病のこころの症状は、上記の抑うつ気分と共に、意欲の低下などもみられます。
抑うつ気分では
- ・意味もなく悲しい気持ちになる。
- ・気分の落ち込みがひどく、朝が特につらい。
- ・この先に何の希望もないと感じてしまう。
こころの不調が考える力にまで及んでしまう
- ・注意力が散漫になってミスを重ねてしまう。
- ・集中できなくなって仕事の効率が著しく低下した。
- ・些細な判断ができなくなる。
意欲の低下がみられる
- ・友人や家族と関わることが億劫になって会話をする気が起きない。
- ・おしゃれに関心がなくなり、最低限の身だしなみさえどうでもよくなる。
- ・好きだったはずのことをやる気が起きなくなり、生活に張りを感じることができなくなる。
うつ病はこころの病気ですが、身体に症状が現れることもあります
睡眠の異常
- ・寝つきが悪くなかなか眠れなくなる。
- ・夜中に何度も目を覚ます。
- ・寝たつもりなのに熟睡感がない。
疲労や倦怠感
- ・ひどく疲れを感じる。疲れが残って取れない。
- ・身体にだるさを感じる。
- ・身体が重いと感じる。
食欲の低下(増加)
- ・食欲がなく、好きなものや美味しいはずのものを食べても美味しいと感じなくなる。
- ・ダイエットをしているわけではないのに体重がひと月にキロ単位で減った。
- ・急に甘いものがほしくなったり、明らかな過食で体重が増えた。
ホルモン系の異常
- ・月経が不順になったり月経前などにイライラするようになった。
- ・ED(勃起不全)がある。
- ・性欲が減退している。
その他の症状
- ・常に頭が重く感じてすっきりしない感じの頭痛もある。
- ・胃が痛んだりすることが多くなる。
- ・様々な部分が痛む。
- ・便秘や下痢がある。
- ・胸や息が苦しくなったり呼吸困難になったりする。
こころと身体はつながっています
こころが原因で身体に変調をきたしてしまう病気は、主に心療内科で診療を受ける心身症とも通じるところがあります。
精神科で治療される病気も心療内科で治療される病気も、実に様々な症状がみられるのです。
そんなことから、軽いうつ病であれば、心療内科での治療も可能となっています。
軽度のうつ病の診療が可能なクリニックは?
最近は通う方も多くなった精神科ですが、やはりちょっと抵抗があるという場合は、比較的受診しやすい心療内科を受診するのも良いでしょう。
診療を受ければ自分の病状の把握もできるし、もし精神科を受診した方がよければ、そのアドバイスがあるはずです。
◆MB Clinic麻布のご案内
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医、日本体育協会スポーツドクターなどの資格を有する院長が診療を行っています。
18歳以上の方が対象ですが、未成年の場合は受診に親権者(保護者)の同意が必要となりますので、同意書をご用意の上、予約をしてご来院ください。
MB Clinic麻布は、「指定自立支援医療機関」に指定されておりますので、自立支援医療制度の利用も可能です。
日々感じている不調をこれ以上悪化させないためにも、どうぞ早めに訪ねてみてください。