ニキビは、多くの人が経験したことがある、お肌のトラブルでは代表的なものではないでしょうか。
特に思春期にみられる顔のニキビは、男女問わず悩みのタネ。
今までニキビと鏡の中でにらめっこをしたり、気になってやたらと触ってしまったり、はやく治らないかとやきもきしたりして過ごしたことがある方も多いのではないでしょうか。
このように、ニキビは誰にでもできる可能性があるものの、大抵の場合は年齢が上がるに連れて症状が軽くなり、自然と良くなって行くことがほとんどです。
そのため、よほど重症でない限りはお医者さんに行って診てもらおうと思う人は、あまり多くはありません。
しかし近年、ニキビができていることによって、人前に出たくない、人に会いたくないなど、ネガティブな感情に陥ってしまったり、怒りっぽくなってしまう傾向があることが知られるようになって来ました。
ニキビがあることを引け目に感じたり、気にしたりすることで、いつもは受け流せることができなくなってしまうなど、人間関係が上手く行かなくなってしまうことさえ考えられるということです。
ニキビはとても小さなものですが、このように人の身体やこころには、思いの外、大きな影響を与えているものだったのです。
専門科目:皮膚科/美容皮膚科。北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。
これまでは「思春期を過ぎればそのうち治るから」と、できるに任せたり、はやく治したい一心で民間の治療薬などに頼ってしまい、かえって悪化させてしまうことも多かったニキビ。
また、ケアが不十分だったり間違っていた場合には、ニキビの跡が残ってしまうことも考えられます。
多くの人を悩ませて来たニキビですが、確かにこれをすれば必ず治るという、単純なものではありません。
要因は様々なものが考えられ、それが複合的に影響して発症するものです。
ただ、早いうちに適切な治療を受ければ、症状を軽くしたり、予防につながる対策も取れるのです。
そこで今回は、ニキビの原因や予防に関してご紹介して行きます。
ニキビが出来る仕組みと原因
ニキビができる仕組みとは?
まず、ニキビができる仕組みについてですが、単純にいうと、ニキビ菌とも呼ばれる「アクネ菌」が、毛穴に溜まった皮脂(脂肪成分)を栄養にして増殖し、その結果、炎症を起こしている状態を指します。
「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」というのが、ニキビの病名です。
毛穴に溜まった皮脂によって増殖したアクネ菌は炎症を引き起こし、ニキビの初期段階の「白ニキビ」ができます。
毛穴に詰まった皮脂が白く見えるので白ニキビとよばれ、この段階では腫れや痛みはほとんどありません。
白ニキビが進行すると、今度は毛穴の口が開いて皮脂が空気に触れて酸化します。そうなるとニキビは黒っぽく変色するので、「黒ニキビ」と呼ばれるようになります。
毛穴に溜まった皮脂を栄養にしたアクネ菌が増殖して炎症が進行し、赤く腫れ上がった状態になったのが「赤ニキビ」です。
見た目にもブツブツとして膨らみがあり、一般的にニキビと呼ばれる状態がこれにあたります。赤ニキビになると、治ったあとにも赤みが引かなくなるなど、弊害も大きくなります。
そして赤ニキビの状態から、更に炎症が進んで膿を持つようになったものが「黃ニキビ」です。
ここまで来ると、炎症が皮膚の奥までに及んでしまい、治ったあとにも肌に凹凸が残るなど、酷いニキビ跡になってしまう可能性があります。
私たちが「あれ、ニキビかな?」と気がつくのは、大抵の場合は肌に赤くポツンとしたものが見えた時ですが、それよりもずっと前にニキビの芽が出てきているというわけです。
ニキビができる原因は?
アクネ菌は誰もが持っている肌の常在菌ですが、増殖してしまうことによって悪い影響を引き起こしてしまいます。
アクネ菌自体は、肌を弱酸性に保つことで他の病原菌の増殖を抑えるなど、決して悪い働きをするものではありません。ただ、酸素が少なく皮脂が豊富なところで繁殖しやすい性質を持っています。
一方、何故アクネ菌を増殖させてしまう皮脂が増えるのかというと、思春期に入ると女性の場合、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れること、男性の場合は男性ホルモンの分泌が活性化する影響が考えられます。
また、肌は一定周期で細胞が生まれ変わっています。
ターンオーバーと呼ばれるその機能や周期が乱れてしまうと、角質が上手く剥がれずに厚くなり、毛穴の出口をふさいでしまうことにつながります。
お化粧をする方は、油分の多いファンデーションを厚く塗り過ぎてしまうと、毛穴がふさがってしまい、アクネ菌が増えやすくなります。
ファンデーションに限らず、化粧品の洗い残しなどがあっても、同じく毛穴がふさがることにつながります。
・ニキビができた場所にも原因が…?
ニキビができた時に一番気になるのは、やはり顔ですよね。
顔の中でも皮脂腺の多いのが、Tゾーンと呼ばれる、両眉毛の上から眉間、そして鼻筋にかけて。
このTゾーンにできるニキビは、ほとんどが皮脂によって毛穴が詰まることが原因となっています。元々オイリーな体質だったり、思春期でホルモンバランスが崩れている人には、特にできやすい部分です。
おでこにニキビができる人は、思春期など以外では、シャンプーの流し方が足りずに残ってしまっている場合や、前髪が当たって刺激になることで引き起こされることが考えらえます。
こめかみのニキビも、シャンプーが残っていたり、ジェルなどの整髪料が原因になっていることがあります。
頬にできたニキビの原因も、ホルモンバランスが崩れたことが考えられます。また、頬にできたニキビは目立つので、気にして触ってしまうことで炎症が悪化してしまうことも。
ニキビは顔だけにできるものではありません。
皮脂腺がある場所では当然皮脂の分泌がありますから、そこで分泌が増えれば炎症が起こり、ニキビになってしまうのです。
ですから、手のひらなどの皮脂腺がほとんどないところでは、アクネ菌が増殖したくてもその養分がないので、ニキビはできません。
実は背中も皮脂腺が多く、ニキビのできやすい場所です。
背中の場合はボディソープの流し残しによる毛穴の詰まり、またアクネ菌ではなく別の菌が原因になっていることもあります。
以上のように、毛穴が詰まってしまうことや皮脂の分泌が盛んになることによって、ニキビができるのです。
どうしたらニキビの予防ができる?
思春期などでホルモンバランスが崩れてしまうのは仕方ないとしても、できることはちゃんとあります。
肌を清潔に保つ
まず大切なのは、肌を清潔にすることです。
汗をかいたらなるべくはやく拭き取って、洗顔などをしてください。
お化粧をしている方は、ファンデーションの厚塗りなどは避けること、帰宅したらすぐにお化粧を落として、肌を休ませることが大切です。
汚れが毛穴に残らないよう、丁寧な洗顔をすることが望ましいのですが、洗い過ぎはかえってお肌によくありません。
ある程度の脂分はお肌には必要ですし、もちろん水分も必要ですから、できるだけ優しく丁寧に洗うことを心がけてください。
肌に合わないスキンケアは避ける
肌質は千差万別で、体質でかなりの違いがあります。
誰かが良いと言っている化粧品でも、自分に合うとは限りません。
少しでも違和感があるものは、すぐに使うのをやめましょう。
また、清潔にしようと思うあまり、洗顔をし過ぎたり、刺激があるものを使ってしまうと、炎症を悪化させてしまうこともあります。
生活習慣を見直してみる
一定の周期で肌の細胞が生まれ変わるターンオーバーの乱れは、悪い生活習慣などでも起こるもの。
睡眠不足はお肌の大敵…というのはよく聞きますが、眠っている間には肌のターンオーバーを促す成長ホルモンが分泌します。
ストレスはホルモンのバランスを乱す原因といわれています。
充分眠って疲れをとって、翌朝スッキリ目覚めることも、ストレス解消には大切なことです。
もう一つ生活習慣で言われるのが、食生活。
これもよく聞くことですが、脂っこいものや甘いもの、刺激が強いものばかり食べていると、皮脂の分泌を調整してくれるはずのビタミン類が不足してしまいます。
また、食物繊維が不足したことによって便秘になり、それがニキビの原因となることも考えられます。
お肌だけではなく、身体そのものを健やかな状態に近づけるようにしましょう。
このように、ニキビの原因は多種多様で、性別や年齢、体質など、様々なものがあります。
ニキビの症状が軽い人も居れば、跡が残ってしまうほどに重くなってしまう方も居て、ケアを誤ると一生後悔してしまうことにもなりかねません。
思春期だから、たかがニキビだからなどと考えず、ちょっと良くないと思ったら、早めに医師に相談してみましょう。
このようなお肌のトラブルは、以下のクリニックでも対応しています。
◆MB Clinic麻布のご案内
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休診日:第1・3・5火曜日
専門医からの適切なアドバイスを受ければ、きっとニキビのお悩みからも開放されることでしょう。