人なら誰にでもあるのが、ほくろです。
ほくろはメラニン色素を作る細胞が変化したもので、正式には「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」といいます。
これは母斑細胞の増殖によるのが原因の一種の良性の腫瘍で、頭のてっぺんから足の先まで、できる部位も様々。
大きさも数も人それぞれで、あまりない人も居れば、たくさんあるという人も居ます。
だからこそ、顔などのほくろを気にしている方も多いのではないでしょうか。
顔にあるほくろだと、大きさよっては印象を変えてしまうこともあるし、たとえ小さなほくろでも、数が多かったり、できた場所によっては気になることもあるでしょう。
そして、一度気になってしまうと鏡を見る度にほくろにばかり目が行くようになり、強いコンプレックスを感じている方は少なくありません。
毎日時間をかけてコンシーラーなどで隠している方も多いようです。
そういった方の中には、たとえ手術などでほくろの除去が可能だという知識があったとしても、大ごとになってしまう心配などから、中々皮膚科を訪ねてみようという気持ちになれず、悶々と毎日を過ごしている方が居るのかもしれません。
そこで今回は、医療クリニックなどでのほくろの除去方法についてご紹介して行きましょう。
専門科目:皮膚科/美容皮膚科。北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。
ほくろ除去をするとしたら?
ほくろ除去の施術ができるのは、医療クリニックや皮膚科、形成外科など、医療系の医師が診断にあたることが可能な医療機関に限られます。
除去にクリームなどを使用する場合もあるようですが、一般的にはメスでほくろを切り取って跡を縫い合わせたり、レーザーでほくろの細胞を破壊する方法がとられます。
クリニックでも皮膚科でも、施術にあたるのは専門医ですから、治療に関する心配ごとや、術後の肌ケアなどについての相談も、安心してできるのです。
ほくろ除去の方法について
ほくろを除去する方法の主流は、メラニン色素に反応するレーザーを使用するものや、電気メスによる切除・縫合術などとなっています。
レーザー治療とは?
黒い色に反応するレーザーを利用して、ほくろのメラニン色素を破壊します。
一口にレーザーといっても、炭酸ガスレーザー、Qスイッチレーザー、ロングパルスレーザーなど、様々な種類があります。
炭酸ガスレーザーは皮膚内に存在する水分に反応するもので、ほくろの組織ごと蒸発させて除去します。
主に比較的小さなほくろに対して用いられます。
Qスイッチレーザーは、ピンポイントで短時間照射するタイプ。
メラニン色素に反応するレーザーを使用します。
母斑細胞にあるメラニン色素をレーザーで狙って破壊し、ほくろの色素を薄くすることで除去につなげて行きます。
主に小さくて表面が平らなほくろに対して使用されており、ほくろの形状や大きさ、肌の状態などにもよりますが、施術後の回復も早く、短期間でほくろの除去を可能にできるケースもあります。
ロングパルスレーザーは、その名の通り、波長の長いレーザーを指します。
YAGレーザーや半導体レーザー、アレキサンドライトレーザーと呼ばれるのがこのタイプです。
ロングパルスレーザーは、Qスイッチレーザーよりも高エネルギーでの照射が可能ですが、皮膚の深層に熱を加えるため、表皮へのダメージは出にくくなっています。
こちらもメラニン色素に反応して破壊し、ほくろの色素を薄くすることで除去して行くものとなっています。
電気メス手術とは?
電気メスの施術では、メスでほくろの色素を削るという方法がとられます。
施術の際には傷跡ができますが、電気メスの熱でその跡を固めることになるので、普通にメスを使って切除して、傷跡を縫合するというものとはややイメージが違って来るかと思います。
その他には
医療用のパンチのような器具でほくろを円型にくり抜いて除去したり、実際に切除して傷跡を縫合するなどの方法もあります。
除去方法のメリットとデメリット
レーザー治療のメリットとは?
最大のメリットは、一回の施術にかかる時間が短く、施術後の傷が残らない可能性が高いことにあります。
出血も少なく、傷口を糸で縫い合わせるといった処置もしませんから、処置を受ける際の肌や心への負担は少なくなります。
処置の直後には傷跡が少し目立つ場合もありますが、それも時間が経てば薄くなって行きます。
また、大きいほくろにも、効果的に処置ができる場合があります。
レーザーでの施術には痛みも伴いますが、それも一瞬で済んでしまうので、その点でも負担が軽くなります。
特に顔などの人目に付く、自分も気になる部位には、レーザー治療のメリットが大きいといえるでしょう。
レーザー治療のデメリットとは?
メリットが大きいレーザー治療ですが、もちろんデメリットもあります。
それは、処置が一度では終わらないことです。
一回の施術で完全にほくろが見えなくなってしまうわけではなく、個人差はありますが、通常は1ヶ月から3ヶ月程度期間をあけて、数回の施術を受ける必要があります。
また、黒い色に反応するレーザーは、メラニン色素が薄い茶色いタイプのほくろには効果の現れ方が薄い可能性もあります。
ほくろを除去する期間や終了時期の設定は、担当医とよく相談して、無理のないプランを考えましょう。
電気メス手術のメリットとは?
電気メスなどを使用する手術のメリットは、施術の回数が少なくなることです。
レーザーでの治療は数度の施術が必要なことはご紹介しましたが、手術の場合は一度で除去できる可能性が高くなります。
「一度で除去できる可能性」というのは、ほくろの状態には個人差が大きいことから、場合によっては数度に分けて施術を行う可能性もあるからです。
ただ、これも各クリニックなどの方針で、小さなほくろでも数度に分けて治療を行うケースもありますから、治療を受けようとする際には事前の確認が必要です。
電気メス手術のデメリットとは?
電気メスなどでの手術の場合、レーザーでの施術よりも傷跡が残る可能性が高くなることが、デメリットとして挙げられます。
縫合した場合には、患部が腫れたり、縫合の跡が盛り上がったりすることもあります。
また、患部の状態によっては痛みがなかなか引かず、手術が一回で済んだとしても、手術のあとが落ち着くまでに長い期間を要する場合もあるのです。
このように、肌やほくろの状態によっては傷跡が残る可能性があることと、手術自体はきちんと行われて上手く行ったのに、痛みだけが残ってしまうというケースのあることが、デメリットとして挙げられます。
治療にかかる費用のこと
前々から気になっていたほくろの悩みを解決しようとした時、気になるのは施術の内容以上に、もしかしたら費用のことなのではないでしょうか。
ほくろの除去は、クリニックや医院などでしか行なえません。
ですから、保険が適用されることがあります。
では、どういった場合なら保険が適用されるのか、そこもご紹介しておきましょう。
ほくろの除去に保険が適用されるケースとは?
まず、保険適用が可能なクリニックや医院であることです。
そして、ほくろの状態などを診て、医師が判断した場合に適用されます。
もし、一見ただのほくろに見えるものが、皮膚がんの一種であるメラノーマであったと判明することもあります。
これは放置すれば転移の危険があるため、保険が適用された上での除去となります。
また、生活に支障をきたしている、大きくなっているなど、ほくろの状態を把握した上で、医師が判断した場合には、保険の適用が受けられる場合もあります。
ここまで、ほくろの除去方法などについてご紹介して来ましたが、いかがでしたでしょう。
もし、ご自分で気になっているほくろがあったなら、ぜひ一度医療クリニックなどを訪ねてみてください。
除去をする・しないは、納得が行くまで説明を受けたあとで決めれば良いことですから。
専門医に相談するだけでも、将来への選択肢が増え、ストレスの解消にもつながることになるでしょう。