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アトピー性皮膚炎とスキンケア

公開 2018年4月4日
更新 2023年12月3日

アレルギーを持つ人が増加していると言われる昨今ですが、花粉症などと並んで良く耳にするのが、アトピー性皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎の増加要因には、近年の食生活の欧米化や身の回りにアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が増えるなどの、生活環境の変化があげられます。

ストレス社会とも言われる昨今ですが、ストレスを感じる環境が身体に変化を与え、体調不良になることによって、症状があらわれるケースも多くみられます。

アトピー性皮膚炎は痒みを伴い、とても辛いものがありますから、症状の悪化につながる要因は、できるだけ避けたいもの。

そこで今回は、アトピー性皮膚炎に関する基礎的な情報と、ケアする際の注意点などをご紹介して行きましょう。

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MBC・麻布十番 院長
立花 義浩
監修者

専門科目:皮膚科/美容皮膚科。北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患のひとつ。

先に記載した通り、アレルギーになりやすい体質の方がかかることが多い病気です。

皮膚には元々、バリアのような機能も備わっているのですが、その機能が弱い方にも多くみられます。

アトピー性皮膚炎の主な症状

主な症状は、湿疹とそれに伴う痒みです。

良くなったり悪くなったりを長い期間繰り返して慢性化し、すっきりと治ったと思うことはありません。

湿疹が出る部位は全身に及び、症状が出てこない部位はありませんが、年齢によって出やすい場所は変わってきます。

乳幼児期では顔や頭、首などに出やすく、ひどくなると全身に広がります。

小児期では首や手足の関節の内側の部分、お尻など、手が届いて引っ掻きやすい部分が多く、掻くことで症状が悪化してしまうこともあります。

大人では上半身に出ることが多いのですが、おでこ、目のまわり、口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすい傾向があります。

また、左右対称の部位にできることも多いようです。

慢性化というのは、乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上続いた場合、そう判断されます。

一時的に症状が軽くなることはありますが、ちょっとした要因で再度悪化してしまいます。

できる湿疹は赤みがあり、カサカサしていて、プツプツとした盛り上がりが見られるもの、引っ掻くと液体が出てくる、しこりのようになったものが多く、掻くことによって皮膚が厚くなり、ゴワゴワしたような状態になってしまうこともあります。

強い痒みがあるので、掻いた結果、かさぶたができたりすることも多くみられます。

アトピー性皮膚炎の原因とは?

長期に渡って皮膚の炎症が続き、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが、アトピー性皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患のひとつですが、アレルギーというのは、簡単にいうと免疫機能が正常に働いていない状態なのです。

免疫機能が正常に働かず、過剰に反応していること、本来私たちの肌に備わっているバリア機能の低下、また、環境に関する要因など。原因は体質などに加え、様々に考えられています。

・免疫の過剰反応

アトピー性皮膚炎は皮膚が炎症を起こしている状態です。

炎症というのは、身体の外から侵入してきた敵と戦って退治する、免疫反応を指します。

これは、ウイルスや細菌などから身を守るために備わっている、誰でも持っている機能です。

しかし、アトピー性皮膚炎の場合は、通常であれば免疫反応が不要な状態であっても、免疫が過剰に反応してしまい、その結果、炎症などの免疫反応が起きてしまうのです。

最近急増している花粉症や、ぜんそくなども、このアレルギー疾患のひとつです。

では、なぜ免疫が過剰に反応してしまうのでしょう。

これは、アトピー素因と呼ばれる、元々アレルギーを起こしやすい体質を持っているからだとされています。

アトピー素因とは、家族などにぜんそくやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎のある方が居たり、アレルギーと深い関係がある免疫物質を作ってしまいやすい体質を持っていることを指します。

つまり、元々体質的にアトピー性皮膚炎になりやすいことに加えて、少しの刺激でも炎症反応が出やすくなっているわけです。

・バリア機能の異常

私たちの皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という3層からなっていて、表皮の一番外側にある角層が、バリア機能を担っています。

角層の表面にある皮脂膜と、その下にある角質細胞間脂質、角質の間にある天然保湿成分のセラミドによって水分を保ち、外からの刺激が入ってこないようにするのが、「バリア機能」と呼ばれるものです。

皮脂膜は、皮脂腺から分泌される脂が汗などと混じり合って肌の表面をおおったもので、水分の蒸発を防いでいます。

角質細胞間脂質は、角質細胞同士のすき間を埋めている脂のことで、表皮で作られます。

角質細胞同士を離れないようにする接着剤の役割と、水分を挟み込んで逃さないようにする役割があります。

セラミドという物質は耳にしたことがある方も多いと思いますが、それも細胞間脂質の一種で、肌に潤いを与えています。

アトピー性皮膚炎の方の肌は、バリア機能が低下してしまい、角質細胞間脂質や水分を保つセラミドなどの天然保湿因子が減ってしまいます。

そうなると角層のバランスが崩れ、通常だったらバリア機能で防げるはずの、様々な外からの刺激や、アレルゲンが侵入しやすくなります。

アレルゲンが皮膚から侵入すると、免疫細胞がそれを攻撃して身体の外へ追い出そうとするのですが、そのことでヒスタミンという物質が活性化して炎症が起こります。

特に角質細胞間脂質が減ると肌が乾燥し、湿疹や痒みがますます悪化してしまうのです。

アトピー性皮膚炎は強い痒みを伴うので、掻き壊してしまうことが多いのですが、そうなると肌のバリア機能が低下して、ちょっとした刺激でも痒みが起こりやすくなります。

痒みがあるのでまた掻いてしまい、さらにバリア機能が落ちてしまうという、悪循環に陥りやすくなってしまうのです。

アトピー性皮膚炎になると、湿疹が出ていない肌の部分でも、バリア機能が低下していることが多いといわれています。

また、乳幼児ではバリア機能がまだ充分に働いていないので、肌の炎症も起こりやすくなっています。

・肌への刺激

ハウスダスト、ダニ、花粉、カビなどの環境アレルゲンはもちろん、汗、紫外線、熱、高温、多湿、寒さ、乾燥までもが、アトピー性皮膚炎を引き起こしたり、悪化させる要因になります。

また、衣類による摩擦や、洗剤や石鹸などの日用品、使用している化粧品などの刺激も要因として考えられます。

引っ掻いたりこすったりした肌への刺激や、掻いた時のキズから黄色ブドウ球菌が侵入してしまうと、バリア機能の落ちた皮膚では増殖しやすく、毒素を出して炎症を悪化させることになります。

このようにアトピー性皮膚炎の原因は、体質や生活環境、年齢など、様々なものが複雑に絡みあっています。

また、摂っている食事などがここに関係して来たり、疲労やストレスなどで体調が悪かったり体力が落ちていたりすることで、症状が悪化することも考えられます。

ケアする際の注意点

アトピー性皮膚炎で強い痒みを伴う肌の炎症が起これば、引っ掻いてしまうもの。

しかし、引っ掻いてしまうと肌のバリア機能が低下してしまい…という悪循環を断ち切るためには、まず炎症を抑えなければなりません。

バリア機能の維持には、肌の潤いを保つスキンケアがとても重要になって来ます。

そして、できるだけ肌への刺激を減らす工夫をすることも必要です。s

・肌を清潔に保ち、保湿する

肌の汚れはなるべく早く洗い落とすようにしましょう。

汗なども刺激になりますし、バリア機能が低下している肌から黄色ブドウ球菌などが侵入してしまわないよう、また、炎症の引き金となるような物質を落とす意味でも清潔に保つことが必要です。

ただし、肌を洗う時に綺麗にしようと思うあまり、ゴシゴシとこすったりするのはNGです。

石鹸やボディソープはよく泡立てて、やわらかいタオルなどで、できるだけやさしく、撫でるように洗うようにしましょう。

使うボディソープなども、なるべく添加物や香料が少ないものを選んで、洗い終わったら泡が残らないように、充分流して落としてください。

シャンプーやリンスなども同様に、なるべく刺激の少ないものを選んで、泡が残らないよう、すすぎは丹念に行ってください。

症状が強い時や刺激を感じる時は、ボディソープなどを使わずに、洗い流すだけにしましょう。

入浴後は、できるだけ早く保湿剤を塗って、肌からの水分の蒸発を防ぐことが重要です。

保湿剤というのは、角層内の水分を保って蒸発を防いだり、炎症を抑える効果があるものです。

保湿剤には様々な種類があるので、医師と相談して自分の症状に合ったものを選ぶようにしてください。

・日常生活では

肌への刺激はできるだけ避けた方がいいので、ゴワゴワしたり、チクチクすると感じる服は、身に着けないようにしましょう。

インナーなどは、一度洗濯してから着るようにするのも刺激を減らす工夫になります。

また、ハウスダストなどもアレルギーの悪化につながりますから、お掃除をしっかりして、部屋が乾燥しすぎないよう、心がけてください。

アトピー性皮膚炎の症状とスキンケアの注意点をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょう。

特に症状が重い方は一人で悩まず、早めにクリニックなどで医師からの適切なアドバイスを受けるようにしてください。