あなたのお悩みをご相談下さい。

MBC・麻布十番(皮膚科・美容皮膚科)のホームページにお越しいただきありがとうございます。

ダミーテキストダミーテキストダミーテキストダミーテキスト
送 信

「酒さ」をご存知ですか?

公開 2019年4月24日
更新 2023年12月3日

酒さ(しゅさ)は、ほとんどの方がはじめて聞くというような、耳慣れないワードだと思います。

酒さというのは、顔が赤くなって見える皮膚の疾患を指します。
「酒」の字が入ることから、酒にまつわるなにかかな?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かにこの「酒さ」というのは、顔がほてるとか乾燥するとかの症状を伴ったうえに、お酒を飲んだ時のように赤ら顔になる症状があります。
けれど、もちろんお酒を飲んだせいでなるわけではありません。

ストレスや陽にあたることなどで症状が出ることもあるといわれる酒さですが、意外と身近な症状かも…。
今回は、この酒さについてご説明してまいりましょう。

医師アイコン
MBC・麻布十番 院長
立花 義浩
監修者

専門科目:皮膚科/美容皮膚科。北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。

酒さのこと

酒さを発症しているのは、30代から60代と幅広く、症状が出るのは顔面と頭皮に限られています。

女性は比較的若い世代から症状を訴えはじめ、男性は中年以降になってから発症する方が多いようですが、はっきりとした原因はわかっていません。
肌の色が白い北欧系の人に多いとされているものの、実際には肌の色が濃い人も発症していて、単純に自分では気づいていないだけのようです。

例えば、特に思いあたる原因は無いのに、ちょっと顔が赤くなってほてったり、乾燥したりすることはありませんか?
実は、顔という部位は皮脂の分泌が盛んな部位なので、乾燥するということはあまりないと考えられています。
高齢になったことでターンオーバーが乱れたり、保湿成分が足りなくなって乾燥していると感じる場合は別ですが、他はなんともないのに顔だけが乾燥するという場合には、酒さであることが多くあるようです。
これは、酒さの赤くなっている部分が熱を帯びていることで、顔の皮膚の水分が蒸発して、その結果皮膚が乾燥すると考えられています。

こうなった場合にクリームなどを塗って保湿しようとすると、熱がこもったようになり、さらにほてりが強くなって、乾燥がひどくなるという悪循環に陥ってしまいます。
毎日お化粧をする方は、もしかしたら、顔が乾燥すると感じて保湿剤入りの乳液や化粧水を使って、かえって悪化したということが思いあたるかもしれません。

酒さで赤くなるのは主に顔で、額や顎にも出ますが、中でも頬と鼻に症状が強く出る傾向がみられます。
酒さがあらわれた皮膚は一見して赤くなり、チクチクすることもあります。
赤くなった部分は腫れたようになることもあり、そのような場合は肌をよく見てみると、表皮のすぐ下に毛細血管が見えることも。

酒さの部分にはニキビのような吹き出物ができていることもあり、ひどいニキビの症状と同じく膿を伴っている場合もあります。
また、鼻にみられる酒さは、周囲の皮膚が赤く、厚くなってしまい、団子鼻のように見えてしまうこともあります。

実は、酒さには毛細血管拡張型、丘疹膿疱型、鼻瘤型、眼型と呼ばれる、4つの型があるのです。

毛細血管拡張型は、いわゆる赤ら顔があらわれるもの。
丘疹膿疱型(きゅうしんのうほうがた)は、酒さ性痤瘡(しゅさせいざほう)と呼ばれる、ニキビによく似た吹き出物が見られるタイプ。
鼻瘤型(びりゅうがた)は、鼻が赤く大きくなって、団子鼻のようにみえるもの。
眼型は、目にあらわれる酒さです。

鼻瘤型は、はじめのうちは鼻が赤くなったり、そこにニキビのようなものができます。
その症状が長く続くと、鼻が盛り上がってくるようになり、鼻が大きくなって、いわゆる団子鼻と呼ばれる形状になります。
こうなってしまうと、症状を抱えた方が強いストレスを感じているのは、想像に難くないでしょう。

眼型の場合は、顔面の酒さを伴わない場合もあるようですが、他の型の酒さ同様に顔が赤くなり、ニキビのような発疹が出ると同時に、眼にも結膜炎のような症状がみられます。
結膜炎以外にも、まぶたの炎症や虹彩炎、角膜炎のような眼の炎症が起きて、時には複数の症状が組み合わさって起こることもあります。
これらの様々な症状による眼のかゆみ、眼の中がゴロゴロする異物感などもみられます。

また、はじめは毛細血管拡張型だったのに、いつの間にか丘疹膿疱型になっていたりと、発症した型とは別の型になってしまうこともあるようです。

このように、日焼けの際に起こる症状や、ニキビやアレルギーと似た多くの症状が出ることもあって、当の本人も酒さだと気づかないでいることも多いと考えられます。
専門医であれば、ニキビと酒さ性痤瘡の区別はつきますし、赤みの状態で診断ができます。
ただし、症状によっては酒さだと診断されるまでに時間がかかってしまうことも、少なくはありません。

ただ、放っておいたり、誤った対処法を取れば、当然症状は重くなっていきます。
はっきりした原因はわかっていない酒さですが、薬によって症状を軽減させることはできます。
重症化してしまうと、その症状の軽減さえ難しくなってしまうのは他の病気と同じなので、なるべくはやめに専門医を受診して、治療を開始することをおすすめします。

酒さ様皮膚炎のこと

酒さとは別に、酒さ様皮膚炎と呼ばれる症状があります。

これは、顔に長期間ステロイドを塗っていたために起こる症状なのですが、ステロイドを使った人全てにみられるわけではないようです。

赤く見えてしまうのは、ステロイドによって毛細血管が拡張したためで、腫れることもあるようです。
ニキビのような丘疹や、膿疱がみられることもあって、酒さとよく似た症状がみられます。
多少良くなったり、悪くなったりを繰り返すことも多く、その症状は長く続きます。

ステロイドを使っていて酒さのような症状が出たら、酒さ様皮膚炎であることが考えられますが、無論素人判断は危険です。
特にステロイドを長く使っていた場合には、使用を中止した途端にリバウンドがあり、それによって症状がさらに重くなってしまうことがあるからです。
自己判断で再びステロイドを使いはじめた場合には、ますます重症化して、医師の指示よりも大量にステロイド軟膏を使用してしまい、酒さ様皮膚炎が悪化して…と、それを繰り返して本当に悪化してしまうこともありますから、ステロイドの使用と中止には、医師の指導をしっかり守ることが必要になります。

酒さという耳慣れない疾患についてご説明してまいりましたが、いかがでしたでしょう。

原因がわからないとされてきた酒さですが、従来は体質的要因だとされていたものが、最近では自然免疫要因で説明されるようにもなり、アレルギーの一種だと考えられるようにもなっているようです。

医療は日々進化しています。
症状を軽くすることは可能なのですから、原因がわからないのにお医者さんに行っても…などと考えず、ぜひ一度は専門医の診療を受けることをおすすめします。