最近シミ、肝斑、タトゥー、ほくろ、等の色素沈着系の症状でお悩みの方がインターネットを検索すると、ピコレーザーというレーザー技術の紹介記事や広告に出会う事が多くなってきています。
専門科目:皮膚科/美容皮膚科。北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。
様々なページで、「短い照射時間だから痛くない」等と情報を載せています。それらのページを見ると、全体像はなんとなくわかるものの、そもそもレーザーはいろいろな種類があるし、正直何が正しくて何が間違っているのかよくわからないと思う事もあるかと思います。わかりたいとは思うものの、専門的な医学論文を読むのは難しいし、たまに専門的にしっかりとした情報を書いていらっしゃるクリニック等も存在しますが、それでも難しい!という方が多いのではないでしょうか?
美に関わる事ですので、キレイになる為に、そしてしっかりとしたクリニックを選ぶためにも、大まかな概要くらいは理解しておきたいと思う方も多いと思います。そこで今回はピコレーザーについて詳しく説明をしていきます。極力わかりやすい表現を心がけていますが、わかりづらいことがあれば、無料のカウンセリング等でご質問をお受けできますのでご安心ください。
レーザーとは
まず、レーザーについて簡単に説明をします。美容医療の業界でレーザー治療が出てきてから久しいですが色々と聞いたことがあると思います。医療レーザー脱毛、アレクサンドライトレーザー、Qスイッチヤグレーザー等、美容に関心がある方であれば一度は聞いたことがあると思います。
レーザーは、英語だとLASERと書きますが、これは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字をとったものです。意味は、「誘導放射による光の増幅」です。誘導放射というのが実はレーザーの原理です。この誘導放射がわかったからといってよりキレイになるかというとそうではありませんが、自分の肌にあてるものを理解するというのは間違っていません。興味がある方は続けて読んでみてください。
誘導放射を分かりやすく人間に例えて説明すると、やる気がない状態の人間が他の人からパワーをもらってやる気がある状態になったとします。でも人間は弱いのですぐやる気のない状態に戻ろうとしてしまいます。その時に、他の人からもらったやる気が外部に放出してしまいます。幽体離脱みたいな感じを想像してください 笑。この放出された「やる気」は他の人にぶつかり、やる気をもらった人は、幽体離脱してしまった人をみているので、そんなんじゃだめだ!と前の人よりも頑張ってやる気満々になりますね。でも、残念ながらこの人も人間なのですぐ楽なほうに流されてしまいます。で、満々(増幅された)になったやる気を放出してしまうのです。このような状況を敢えて(誘導)して行う(放射)事によって光が増幅されるという仕組みがレーザーなのです。この2回の放射の際に波長や方向が揃い、やる気ビームのような、レーザー光線になるということです。
レーザーが美容医療に応用できる理由
では、なぜレーザー光線が美容医療に有効なのでしょうか? これは実はとても簡単なことなのです。物には「色」がありますよね?この色ってどうやって出ているかご存知でしょうか?例えば白い服は涼しいけど、黒い服は熱い等と聞いたことありませんか?実は白い服というのは全ての色を反射し、黒は全ての色を吸収してしまうのです。他の例だと、青であれば青を反射して青以外を吸収、赤であれば赤を反射して赤以外を吸収しているということです。この、反射や吸収すると言った反応を考えてもらえればざっくりイメージできるかもしれません。例えば・・・ほくろは何色でしょうか?シミは?入れ墨は何色でしょうか?そう、黒っぽいですよね。黒っぽい色に反応するレーザー光線があれば、何か起きそうじゃないですか?この「反応の仕方」をより痛くなく、より効果的にという発想が、美容医療におけるレーザーの発展に大きくかかわっているのです。
▶波長とは?
さて、前項で色と吸収について少し書きましたが、ではメラニン等ほくろやシミなどの原因となる物質はどのような光を吸収するのでしょうか?実はこの考え方がとても重要です。光の波長とか、波やウェーブ型のグラフを見たことがあると思いますが、この波の形の間隔が狭いほうが(波長が短い)メラニンにたいして有効であることがわかっています。当院で使用しているピコレーザーの機械は波長が755nmであり、例えば1064nmのYAGレーザーなどと比べると効果的であると言えます
▶パルス幅とは?
さて、美容医療で使用するレーザーでもう一つの重要な項目がパルス幅です。レーザー光線には大きく分けて2種類あります。ウルトラマンのスペシウム光線やアイドルの萌え萌えビーム、イケメンの目から出ると言われているイケメンビームのような連続して光線が出る連続波と、連続ではないパルス波タイプがあります。イメージしていただいたらわかると思いますが、連続でパワーがあるレーザービームを肌にあてたら、痛そうだとはおもいませんか?そこで、どれだけ短く照射できるか、ということが美容医療業界のレーザーでは注目されてきたのです。短く照射できれば、他の組織にダメージを与えにくい、痛くなりにくいということです。
▶ピコってなに?
さて、レーザーの波長で有効性、パルス幅でダメージの量とざっくりと説明してきましたが、では、ちまたで騒がれているピコレーザーってどういうことなのか説明します。ここからが本題です。まず、ピコレーザーは755nmという波長でメラニンに対して有効であることは説明しましたが、この波長自体は昔から存在している波長です。つまり、ここが新しいというわけではないのです。新しいのは、「ピコ」です。パルス幅がピコ秒ということなのです。照射時間が短ければ短いほどダメージを与えにくいという話があったかと思いますが、1秒の1兆分の1秒が1ピコ秒です。かなり短いですね。
ということで、ここがとても画期的であるということです。照射時間が短いという事は、ダメージが少ない。ダメージがないという事は痛みが少なかったり、ダウンタイムが短かったりと、美容を気にする人にとって素敵な効果があるのです。
まとめ
さて、今回はピコレーザーの仕組みを簡単に説明しました。この記事を読んでいただくことによって、美容レーザー治療を考えている方は、カウンセリングなどの時に、自分のシミ、ほくろ、そばかす等に対する吸光度の高い(効果のある)レーザーの種類は何かをしっかり聞いていただくことができるとおもいます。また、そのレーザーはどのような仕組みで治療をするのか、その際痛みはどのように起きるのかなども理解できるのではないかと思います。皆様が納得できる美容医療を提供できるように当クリニックも日々精進しておりますのでお悩みなどあればお気軽にいらしてください。