繰り返しできるニキビや白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビなどでお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。ニキビに対してはさまざまな治療法がありますが、保険診療で受けられる治療に「べピオゲル」での外用治療があります。この記事では、べピオゲルとはどんな薬剤なのか、効果や副作用、ニキビが改善する仕組みについて詳しく解説します。
聖マリアンナ医科大学医学部付属病院皮膚科、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院皮膚科にて勤務したのち、医療法人社団奏愛会 おおふな皮膚科など皮膚科クリニックにて研鑽を重ね当クリニックにて勤務。
保険適用のニキビ治療薬「ベピオゲル」とは?
べピオゲルとは、ニキビの改善に効果が期待できる外用薬です。主成分の「過酸化ベンゾイル」によって古くなった角質を剥がれやすくし、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑える作用があります。
過酸化ベンゾイルは海外で古くからニキビ治療に用いられ、初期ニキビの「白ニキビ」のほか、炎症を起こした「赤ニキビ」、白ニキビが酸化した「黒ニキビ」の改善にも効果が期待できます。
また、ホルモンバランスの乱れによって発生する思春期のニキビから不規則な生活習慣によってできる大人ニキビにまで効果が期待でき、幅広い年齢層の方に使用していただけます。
ベピオゲルの効果は?ニキビとニキビ跡が改善する仕組み
べピオゲルでは、主に「角質剥離作用」と「酸化作用」によってニキビやニキビ跡を改善に導きます。
角質剥離作用とは、肌表面に蓄積した古い角質や毛穴の汚れなどを取り除く作用を指します。
一方の酸化作用とは、酸素を活性化させ「フリーラジカル」という物質を発生させる作用です。フリーラジカルは通常人体に有害ですが、ヒトはフリーラジカルを無毒化できる酵素を持つため、べピオゲルを使用しても健康に影響は受けません。
しかし、ニキビの原因となるアクネ菌にはフリーラジカルを解毒できる酵素を持たないため、酸化作用によって死滅させることができるのです。
ニキビは、生活習慣やホルモンバランスの乱れによってターンオーバーが乱れることが原因で発生します。ターンオーバーが乱れると、本来自然と剥がれるはずの角質や角栓が残り、白ニキビが発生します。
白ニキビができると毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤ニキビを形成したり、酸化して黒ニキビになったりします。
べピオゲルには古くなった角質を取り除いてターンオーバーを正常な状態に整え、アクネ菌を殺菌することで効果的にニキビを改善する効果が期待できるのです。
べピオゲルの効果は、主に角質を剥離し、毛穴の詰まりを取り除きます。酸化作用もあるため、アクネ菌を死滅させる効果もあります。
ベピオゲルに副作用はある?使用する際の注意点
ニキビの改善に効果が期待できるべピオゲルですが、副作用も気になるところですよね。べピオゲルでは、使用する方の約4割に皮膚が薄く剥がれたりヒリヒリした感じがするほか、乾燥、赤みなどの副作用を認めることがあります。
このような副作用は使用してからすぐに生じることが多く、ほとんどの場合経過とともに軽減していきます。しかし、症状の程度が強い場合には使用を中止し、皮膚科を受診してください。
また、副作用のリスクを軽減させるためには、洗浄を優しく行いしっかりと保湿することがポイントです。洗顔時にはスクラブ洗顔料や酵素洗顔料などの洗浄力の強いものの使用は避け、泡立てネットを使用してたっぷりの泡をつくり優しく洗うようにしましょう。
洗顔後はなるべく早く保湿剤を使用し、肌を乾燥させないことが重要です。保湿剤は、ニキビができにくい処方の「ノンコメドジェニック」のほか、低刺激処方のものを選ぶとよいでしょう。乾燥が気になる場合には、ワセリンの中でも純度の高い「白色ワセリン」などを使用するのもおすすめです。
保湿剤を使用する際も、肌を擦らず手のひら全体を使って優しく伸ばすようにしましょう。保湿剤をしっかりと塗布したら、ニキビのある部分にべピオゲルを薄く伸ばします。
顔全体に使用する場合、使用する量は人差し指の先端から第一関節くらいまでが目安です。頬だけ、額だけと部分的に使用する場合には、その1/3程度の量を目安にしてください。
べピオゲルは粘膜には使用できないため、目や目の周囲、唇などには付けないように注意しましょう。
べピオゲルの副作用では、乾燥赤みヒリヒリ感があります。100人中3人程度の頻度で、かぶれ(接触性皮膚炎)がありますので、使用中に違和感がありましたらお伝えください。
保険適用治療を含む当院でのニキビ治療法一覧
ニキビの治療には、保険適用のもの(保険診療)と保険適用外のもの(保険外診療)があります。保険診療とは健康保険法や国民健康保険法で定められた診療のことで、その病気に対して治療内容が決められています。一般的に、保険証を提示すれば3割負担の費用で治療を受けることができます。
一方の保険外診療とは、医療保険制度を使用しない診療のことです。診療内容や費用に制限はないため、費用は全額自己負担(10割負担)となります。
ここでは、当クリニックで行う保険適用と保険適用外のニキビ治療についてまとめました。治療を受ける際の参考にしてください。
<保険診療>
べピオゲル | |
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対応できる ニキビの種類 |
白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビ |
効果が出るまでの期間 | 2〜3ヶ月 |
費用 | 1,000〜3,000円/回 |
ディフェリンゲル | |
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対応できる ニキビの種類 |
白ニキビ、黒ニキビ |
効果が出るまでの期間 | 1〜2ヶ月 |
費用 | 1,000〜3,000円/回 |
抗菌薬 | |
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対応できる ニキビの種類 |
赤ニキビ |
効果が出るまでの期間 | 1〜3ヶ月 |
費用 | 1,000〜3,000円/回 |
面ぽう圧出 | |
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対応できる ニキビの種類 |
白ニキビ、黒ニキビ |
効果が出るまでの期間 | 直後〜 |
費用 | 1,000〜3,000円/回 |
<保険外診療>
ケミカルピーリング | |
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対応できる ニキビの種類 |
・白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビ ・ニキビ跡 |
効果が出るまでの期間 | 6ヶ月〜 (1ヶ月1回ペースで6回〜) |
費用 | 5,000〜500,000円 |
イオン導入 | |
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対応できる ニキビの種類 |
・白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビ ・ニキビ跡 |
効果が出るまでの期間 | 3ヶ月〜 (1週間に2回ペースで3ヶ月〜) |
費用 | 5,000〜15,000円 |
ダーマペン | |
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対応できる ニキビの種類 |
・白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビ ・ニキビ跡 ・その他(毛穴の開き、クレーターなど) |
効果が出るまでの期間 | 7ヶ月〜 (1ヶ月半〜2ヶ月に1回のペースで5回〜) |
費用 | 20,000〜30,000円 |
ポテンツァ | |
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対応できる ニキビの種類 |
・白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビ ・ニキビ跡 ・その他(毛穴の開き、クレーターなど) |
効果が出るまでの期間 | 4ヶ月半〜 (1ヶ月半〜2ヶ月に1回のペースで3回〜) |
費用 | 100,000〜200,000円 |
フォトフェイシャルアクネライト (ステラM22) |
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対応できる ニキビの種類 |
・白ニキビ、赤ニキビ、黒ニキビ ・ニキビ跡 ・その他(毛穴の開き、クレーターなど) |
効果が出るまでの期間 | 5ヶ月〜 (1ヶ月に1回のペースで5回〜) |
費用 | 10,000〜50,000円 |
ニキビ治療法には、たくさんの方法があります。患者様の症状に応じて、1番最適な治療法をご提案します!
ベピオゲルに関するよくあるQA
ここではべピオゲルに関するよくある質問をまとめています。治療を選択する際の参考にしてください。
Q.べピオゲルを使用できないケースはありますか?
べピオゲルは胎児や小児への安全性が確認されていないため、妊娠中および授乳中の方や12歳未満の小児にはご使用いただけません。
また、過酸化ベンゾイルのアレルギーがある場合にも、使用を控えていただく必要があります。肌の状態などによって処方されるケースもありますが、自己判断で使用したり中止したりせず、必ず医師の指示に従って適切に使用するようにしましょう。
Q.べピオゲルはニキビ跡にも効果がありますか?
べピオゲルは白ニキビや赤ニキビ、黒ニキビの改善にも効果が期待できますが、ニキビ跡への直接的な効果は期待できません。
ニキビ跡は、ニキビが治った後に赤みや色素沈着、凸凹(クレーター)が残っている状態です。ニキビが原因で炎症が起き、真皮層や皮下組織層まで障害されるとニキビ跡を残してしまうことがあります。
肌の奥深くにまでダメージが及んでニキビ跡が残ってしまっている場合には、通常のスキンケアや外用薬で改善することは難しいケースもあります。
ニキビだけでなく、ニキビ跡を改善したいという場合には、「ダーマペン」や「ポテンツァ」などの美容施術が有効です。詳しくはクリニック医師までご相談ください。
ピーピー音は、過酸化ベンゾイルと言う有効成分が毛穴の詰まりを改善し、アクネ菌などの増殖を抑制します。